シコクハコネサンショウウオ
1 外部形態
シコクハコネサンショウウオ。体長19cm位。
幼生時から黒い爪がある。
シコクハコネサンショウウオの成体は,鮮やかな朱色が,背中から尾の先まで走る。体は細身で尾が長く体長は19cm位,前後肢が他のサンショウウオよりしっかりしており幼生時から指に黒い爪がある。尾が長いので渓谷の流れでも移動できる。終生,鰓と皮膚呼吸である。雌雄の違いは後肢の太さで判る。雄は太く,雌は細い。
右図 孵化して約9ケ月経った,一人前となった幼生。
左図 変態が近づいた幼生。体に茶色や橙色が出来てくる。
2 産卵は6月中旬。産卵場所は,極めて見つかりにくい謎。
シコクハコネサンショウウオの卵の発見は,非常に難しい。
平成24年6月に徳島県内では初めて,四国では75年振りの発見。卵の発見により,シコクハコネサンショウウオの繁殖生態が明らかになった。
本流に吹き出る伏流水の奥深くで産卵。
1匹が2本の「卵のう」を岩面に産む。「卵のう」の長さ55mm。卵数10個。
3 孵化は台風シーズンが終わる10月中旬頃。
孵化は台風シーズンが終わる10月中旬頃,産卵して117日目。孵化の瞬間。
孵化直後の幼生。前後肢はヒレ状,大きな腹卵黄,小さな鰓。
孵化後47日目位。前後肢完成に近い。
4 孵化して4年目に変態。
鰓が消える。体色が朱色になる。頭が尖ってくる。変態の時期は夏。
8月調査
- 小は1年前の10月に孵化した幼生。
- 中は2年前の10月に孵化した幼生。
- 大は3年目。
- 特大は4年目。頭部が丸み変態する。
5 腹卵黄は孵化して8ヶ月,前後肢が完成すると無くなる。
3月26日。孵化して約5ヶ月後の腹卵黄。
6 幼生がいる砂礫層と湿潤な山肌は,欠かせない生息環境。
孵化して変態するまでの間渓谷の砂礫層で生活する。砂礫層内にはいろんな水棲の小動物がいる。