カスミサンショウウオと生息地の山奥の写真

コガタブチサンショウウオ

最も見つかりにくいコガタブチサンショウウオ

4種類の中で,一番見つけにくい種類。剣山周辺の渓谷で見つけたが,生息数も少なく,生息地も少ないように思う。渓谷にやっと地下水が顔を出してきた上流域で見つかる。全長10cm位,4種類の中では,謎の多いサンショウウオのように思う。

「卵のう」。バケツの中で産卵した。

「卵のう」。バケツの中で産卵した。

まだら模様。尾のバネを使って移動する。

まだら模様。尾のバネを使って移動する。


35年ぶりにやっと見つけた美しい徳島のコガタブチサンショウウオ。

1 体色が,周りの色で微妙に変化する

7月18日,丸笹山(1712m)渓谷の山肌で,朽ちた倒木の中から1匹のコガタブチサンショウウオを発見。その時,何ともいえない鮮やかな黄色の美しい体色に興奮した。所が,更に驚いた事に,鮮やかな黄色の体色が,周りの色が違った事で,くすんだ黄土色に変わった(図1) 。我が身を護るためだろう,保護色に変わる事を知る。

朽ちた倒木の中にいたコガタブチサンショウウオ

図1 コガタブチサンショウウオの体色(鮮やかな黄色が変色している)
全長約115mm。
身体の幅約14mm
尾部が短い。
全長に対する尾の長さの割合。

  • イシヅチサンショウウオ43~47%
  • シコクハコネサンショウウオ51~57%
  • カスミサンショウウオ43%
  • コガタブチサンショウウオ38%

2 徳島のコガタブチサンショウウオの後肢の指数は4本

徳島のサンショウウオの指の数は,イシヅチサンショウウオ,シコクハコネサンショウウオ,カスミサンショウウオの3種類とも,前肢4本,後肢5本の合計18本である。ところが,コガタブチサンショウウオは前肢は4本,後肢4本の合計16本。爪は勿論ない(図2) 。コガタブチサンショウウオは体色とブチ模様で他のサンショウウオと一目で判るが,後肢の指が4本は,大きな特徴である。後肢の指4本は,どの種類の幼生かを判断するのにも役立つ。

足の状態が見えるように真上から撮影したコガタブチサンショウウオ

図2 後肢の指数が4本。発見時の体色は,鮮やかな美しい黄色であったが,図の様にやがて,くすんだ黄土色に変わった。

3 同じ渓谷で指5本の成体が

見つけたコガタブチサンショウウオの後肢の指が4本である事に気づいた時は,何ともいえない喜びが湧いてきた。ところが,それから約1ヶ月後に,同じ渓谷で見つけたコガタブチサンショウウオは,何と普通の様に5本であった。剣山山系に生息するコガタブチサンショウウオの特徴発見と喜んだのもつかの間,複雑な心境と疑問を呼んだ。生長の時期によるのだろうか,雌雄の違いによるのだろうか,それとも・・・。今後の観察が楽しみである。

真上から撮影した後肢の指数5本コガタブチサンショウウオ

図3 後肢の指数5本のコガタブチサンショウウオ。小指が退化消失せず,小さいが確認できる。